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ワンワン☆の雑記

大学生一年生、田舎生まれのつぶやき。

源氏物語で学ぶ、理想の女性論

いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり……

 

日本最古の長編小説、源氏物語の冒頭だ。

 

色々なところで言っているが、自分は源氏物語が大好きで趣味的に勉強している。とにかくはちゃめちゃな物語で、とても教科書に載っているようなものだとは思えない。内容はとても面白いので、物語の魅力を皆さんにもわかってもらいたい。

 

源氏物語というのは、主人公の光源氏が様々な女性との出会いと別れを通じながら、権力を手に入れていく恋愛と政治の要素が入り混じった奥深い作品だ。

 

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そんなわけで今回紹介したいのは第二帖『帚木』より、「雨夜の品定め」という有名なシーン。

 

物語をざっくりと話す。

 

とある五月雨の夜のこと、17歳になった光源氏の元に頭中将(とうのちゅうじょう)が訪ねてくる。この頭中将という男、源氏の正妻である葵の上の兄であり、源氏とは仲が良い友達でありライバルのような存在。

 

そこに左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)という人物が加わり、四人で理想の女性について話し始める。

 

左馬頭はやたらと饒舌。読んでいてなんだコイツと思うほど数ページに渡って、求める女性像についていきなり語り出す。自分の過去の恋愛体験なんかもどんどん出てくる。

 

【①左馬頭の元妻:指食い女】

彼女は不美人だったが世話好きで家庭的。ただし嫉妬深くて、ある日浮気を重ねる左馬頭の指に噛みついてしまう。そのままお互い意地を張り合って会わないでいるうちに死んでしまう(可哀想)

 

【②左馬頭の二番目の恋人:木枯らしの女】

風流を好み、和歌や琴、文学にも通じる美人妻。ところが、他の男との浮気現場を垣間見て、別れてしまう。

 

左馬頭に触発されて、皆が次々と経験談を話し始める。

 

【③頭中将の恋人:常夏の女】

頭中将がかつて好きになった女美しく素直で控えめで従順娘まで生まれたものの、それが正妻にバレてしまい、脅迫に堪えられずに失踪してしまう。実はこの会話は伏線で、後に彼女が源氏の前に現れるのだがそれはまた別のお話。

 

【④藤式部丞の恋人:賢し女】

とても賢く、勉強ができる才女。愛の語らいに漢文の指導をするイカれ人物。自分よりも知識があり、男をたててくれない彼女に劣等感を抱いた藤式部丞は段々と別れたくなってくる。風の処方で彼女がニンニクを食べた際、その臭さに逃げだしてしまい、それ以来会っていない。なんじゃそりゃ。

 

このように「どうせ完璧な女はいないから家事さえできればいいよ」「でも家事に手一杯っていうのもなぁ」「嫉妬深い女は困るよね」「だからといって油断してる女も浮気の元だよ」と言いたい放題。

 

ここで注目してほしいのは、源氏が会話に参加していないというところ。これこそが彼がモテる理由なのかもしれない。彼は女性の味方として描かれており、つまり女の悪口を言わない男はモテる!

 

結局会話はこうしてまとまる。

 

「上流階級の家に生まれてくると、周りの人にちやほやされて、欠点も人目に隠されることが多いよなぁ。やっぱり個性的で人柄や気立てもいい中流階級の女性が最高。下の階級?あ、論外っス」

 

彼らは中流階級の女性こそが一番だと意見が一致する。

 

実は作者である紫式部中流階級である藤原為時の娘。要するに「私みたいな女性がいいのよ」と書いているわけだ。

 

この後の話で、源氏は空蝉というまさに中流階級の女性と出会い関係を持ってしまう。しかし彼女は人妻だった……とこの話も長くなるからやめておこう。

 

繰り返すがこの帖でいわれる理想の女性、それは個性的で人柄や気立てもよく、疑いすぎずに少しくらい目をつぶってくれる可愛らしい人物。

 

これを読んでいる女性の方がいたらこう思うだろう。

 

望 み す ぎ だ

 

源氏物語の英訳者ロイヤル・タイラーは、こんな体験談を語っている。

 

「アメリカで講義したあと、男子学生がやって来て『先生、この男たちのお喋り、僕たちがバーで話してたことと同じです』と言いました」

 

まさに国や時代を超える普遍的なボーイズトークなのだろう。

 

男が求める理想は……果てしなく高い…………